機械安全制御入門テキスト完成(99/04)

安全技術応用研究会のこれまでの調査・研究の集大成がこのほど完成し、会員各社に配布された。目次に示すように、安全確認型の原理・構築方法から、災害事例、現実の機械システムを安全設計するための手法を丁寧に述べている。さらにいま話題となっている国際安全規格についても詳細な解説を掲載する。最後に安全機器およびメーカのリストが綴じ込まれており、実際の安全設計、安全管理の担当者には必携である。

目次

序文

第1章 安全確認型システムの基本
1.1はじめに
1.2安全確認型システム
1.3安全確認型に基づく機械運転制御事例
1.4安全確認型システム利用の効果

第2章 機械安全制御に係わる災害事例
2.1はじめに
2.2災害の防止
2.3災害事例

第3章 安全確保のための機器類の現状
3.1はじめに
3.2安全装置とは(役割及び範囲)
3.3安全な制御回路の構成原理
3.4安全確保のための手段,機器

第4章 安全のための電気回路の実例
4.1はじめに
4.2ハイリスク対応の回路
4.3安全確認型システムの生産現場への適用事例

第5章 国際安全規格類の考え方およびその動向
5.1はじめに
5.2国際安全規格の考え方とその特徴
5.3各種国際安全規格の例
5.4国際規格化への日本の対応

付録
A.安全確保のための機器類メーカーリスト及び適用事例
B.用語集
C.可動式ガードの形態とドアスイッチの組合せ
D.市販の運転制御回路ユニット

機械安全制御入門 序文

 安全は幾多の人命に係わる貴重な災害を通して改善されてきた。我が国における労働災害も、コンビナートにおける昭和48年の、相次ぐ爆発・火災災害を契機として、安全衛生法の制定、コンビナート災害防止対策の強化がなされるなどし、以後、減少傾向をたどることになった。
 しかしながら、ここ数年の、事故・災害の傾向をみると、減少しているとはいえ、ほぼ横ばい状態である。その理由として、これまでは、どちらかといえば当面の事故・災害を、場当たり的に処理する対症療法的であったことが挙げられる。
 安全に限らず、諸問題の大きな山はその時々の運動、管理の強化、教育による人の感性向上等の手段で比較的簡単に崩せるが、残された裾野に横たわる災害の防止は、同じやり方の繰り返しでは限界があることを示唆している。
 安全の基本は事故・災害の先取りにあり、そのためにも、安全は基本的な論理の裏付けをもつ技術で構築し、誰しもが納得してくれることが重要であり、これからはそれが求められることになる。  近年の、安全を取り巻く国内外の動きは、EU圏におけるCEマーキングの導入を始めとして、ISOの安全の規格化に向けての活動等、目を見張るものがある。安全に対するこれら一連の基本となっているのは、単に機械の安全にとどまらず、全ての分野に共通する論理的背景のある技術を持つ。
 安全を技術で構築し、どのように展開するかについては、最近になって事例が示されるようになったが、多くは機械に関するものであり、安全を構築する上で不可欠な制御についての易しい事例はない。このような観点から、本書は国内における災害の状況、国際的な安全の動向等を踏まえ、技術的に安全を構築する一つの事例として、主に制御を主体にした内容でまとめた。
 全体の構成としては、国際規格を単に解読し、踏襲することを避け、我が国の安全事情を十分考慮に入れ、制御に留まらず、出来るだけ広い範囲で、分かりやすく、平易に捉えたつもりである。第1章では、安全技術の基本論理である「安全確認型システム」について解説している。第2章では、身近な災害事例を取り上げ、その原因、対策について技術的な裏付けの基に、解説し、検証している。第3章では、制御システムを構成する安全機器の解説と共に、市販の安全機器を紹介している。第4章では、制御回路の基本を示し、具体的な現場設備への適用事例を解説している。最後に第5章では国際安全規格の概要を述べている。そういった意味からも、制御に関する内容ではあるが、必ずしも電気担当者に限定したものでなく、機械担当者、安全担当者、安全機器を販売する営業担当者、これから安全を学ぼうとする方々等の、幅広い層を対象とした内容と構成になっており、これからの安全の在り方の一端を理解する上で、必ず、お役にたてることと存ずる。
 最後に企画から完成に至るまで、並々ならぬご尽力をなされた委員の各位方々に深く御礼申し上げます。

1999年4月

安全技術応用研究会
電気担当者用教育資料作成委員会
編集委員長 鈴木正俊